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高血圧症って何?

当HPをご覧頂きありがとうございます。

ここでは訪問者の方の疑問についてお答えできればと思います。

今回のテーマは「高血圧」。高血圧って日常生活の中でもよく耳にする言葉だと思います。

では、高血圧症とは何なのでしょう?

高血圧症とは「安静時に、慢性的に血圧が高い状態」のことを指します。

このことが、なんとなく良くない状態であることはみなさんご存じだと思います。

では何が良くないのでしょうか?

血管内圧(血圧)が慢性的に高いことで血管内皮細胞が傷つき動脈硬化が進行、その結果、全身の血管で狭窄や動脈壁の脆弱化が起きます。(イメージとしては新品の柔軟なホースと経年劣化したカチカチのホースが分かりやすいと思います)

最終的には末梢への血流量低下(虚血)や動脈壁破綻から血管の詰まり(梗塞)の原因となるのです。

代表的な疾患は「狭心症」、「心筋梗塞」、「脳卒中(脳梗塞や脳出血)」が挙げられますが、これらの致命的な疾患以外にも脳血流低下に伴う脳萎縮(脳血管性痴呆の原因)、腎臓の血流低下による腎不全、下肢動脈狭窄による閉塞性動脈硬化症(歩行時に足の痛みを自覚、進行すると末梢の壊死)など全身のあらゆる臓器で障害を来す恐ろしい状態と言えます。

さらにこの高血圧、心臓にも負荷をかけることにより、心不全の原因としても重大です。

こんな怖い高血圧ですが、その原因は何でしょう?

原因は、食塩の過剰摂取、肥満、運動不足、喫煙や飲酒、ストレス、加齢、家族歴(遺伝的要因)など多岐にわたります。

加齢や家族歴については改善のための介入が難しいものとなりますが、その他の原因については自らの行動でその影響を減らすことができるものです。

わたしはこの地域で13年間ほど内科医をしておりますが、この地域で高血圧症や慢性心不全の患者数が多いという調査結果があることと、この地域の食文化も大いに関係があると感じております。

この地域の味付けは基本的に「濃い」です。

濃いのは食塩と砂糖の使用量が多いことを意味しています。この地域にお住まいの方は家庭の味付けでそう感じる部分がありませんか?

日本の学校では「食育」が乏しいことも原因の一つと思います。

血圧には家庭血圧(リラックスした状態の血圧)と診察室血圧(診察室や健診での血圧)がありますが、ガイドライン上の診察室血圧の目標値は、75歳未満の方で、収縮期血圧(上の血圧)が130mmHg未満、拡張期血圧(下の血圧)が80mmHg未満です。

実は血圧がこの目標値より高くてもほとんどの方が無症状であり慢性的に高血圧状態が続くことで先に述べた種々の疾患が引き起こされることから高血圧症は「サイレントキラー」と呼ばれます。

薬物療法だけでなく高血圧を解消するための生活習慣の改善も非常に有効であることから、健診で血圧が高いと指摘された方は一度ご相談に見えてはいかがでしょうか?